小売業で働く外国人の就労ビザは?

条件次第で「技術・人文知識・国際業務」のビザも認められる

大手家電量販店や高級ブランドショップなどの小売店で、外国人が働いているのを見かける機会があります。コンビニにいたってはどこのお店でも外国人スタッフがいる印象です。

では、このような小売店で働く外国人は、どんな就労ビザを取得しているのでしょうか。

一般的によく知られている「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザは、基本的に接客やレジ打ちなどの単純労働は認められていません。しかし、そうは言っても都心部の家電量販店や高級ブランドショップでは、外国人観光客も多く、外国語を話せるスタッフの需要が多いのではないかと思います。

レジ打ちなどの単純労働については、たとえ外国語で接客するとしても、出入国在留管理局は「通訳業務」」として、なかなか認めてくれません。したがって、フルタイムのスタッフを採用したいのであれば、「日本人の配偶者等」か「永住者」「定住者」といった就労することに制限を受けない在留資格を持っている外国人がよいでしょう。また、留学生でも「資格外活動許可」を取得していれば、一週間28時間までなら就労可能です28時間の定義については以前の記事で)

では、小売店で正規の就労ビザを取得することは絶対無理なのかというと、そうでもありません。あくまでも個別具体的な条件をクリアできることが前提になりますが、認められそうなケースについて考えてみます。

まず、都心部の家電量販店やブランドショップなどで、外国人客が多く、外国語の使用頻度が高いことを出入国在留管理局に説明できれば「技術・人文知識・国際業務」の就労ビザが認められる可能性があります。

説明するといっても、やはり具体的な根拠が必要ですので、外国人スタッフが外国語を使用する頻度を様々なデータを分析してまとめる必要があるでしょう。

 

・外国人スタッフの一日の行動予定

・来店客の外国人割合(人数や%)

・季節や月、曜日などによる業務量(来客数)の変動

・来店客の国籍別割合

 

これらの資料を元に丁寧な説明をしたことで、実際に許可された事例もあります。

ただし、気を付けなくてはいけないのは「通訳業務」として申請し、許可が得られたにも関わらず、実際は単純労働しかしていなかった場合です。それが発覚すれば虚偽申請をしたとして、外国人だけでなく企業側も処罰の対象となります。

データを分析した資料の提出は任意ですが、逆にこのような根拠のあるデータがなければ許可はおりません。データの分析は大変面倒です。しかし、面倒だからといって誤解を招くような説明は後々不利になることもあり得ます。許可後、出入国在留管理局に誤解をされないよう、正直で丁寧な説明をするためにも、どのような資料を用意するべきか、しっかり検討してください。