日本政策金融公庫の「創業融資」

記入例を真似しても審査は通りません

起業する場合、潤沢な自己資金を持っている人には関係ないかもしれませんが、最初のハードルになるのが資金調達でしょう。資金調達には色々な方法がありますが、こんなとき活用したいのが日本政策金融公庫の創業融資です。

日本政策金融公庫は政府系金融機関として、新しい産業を生み、育てることを政策的に行っているため、積極的に起業家への融資に取り組んでいます。

日本政策金融公庫の新創業融資制度なら、無担保無保証で最大3,000万円まで融資が可能で、担保や保証人も原則不要です。また、融資実行までのスピードが速いのも大きな特徴なので、素早い事業展開にも対応できるでしょう。

融資を受けるために、もっとも大事なのは事業計画です。

初めての起業では過去に実績がないため、日本政策金融公庫は事業計画を基に将来どれだけの収益が見込めるのかを判断します。この予測は、事業内容だけでなく、明確な資金の使いみちや返済計画など、十分な説得力がなければいけません。ちなみに創業融資の成功確率は、一般的に3件に1件程度といわれています。

創業計画書の作成は、日本政策金融公庫のサイトで公表されている記入例をなんとなく真似をして作成しても、審査担当者を納得させることはできません。「この計画なら大丈夫」と思ってもらえなければ、融資を断られるか、あるいは大幅に減額されることになります。

創業計画書の書き方として、ポイントが3つあります。

実現可能な計画

これから起業しようという時、つい背伸びして実現可能性の怪しい創業計画書を作ってしまいがちです。かといって、実現性を意識しすぎると保守的で見栄えの悪いものになってしまうので、さじ加減が難しいところです。

競合との差別化

創業当初はビジネスの認知度も低く、既存のお客さまもいません。そこで重要になってくるのが「競合との差別化」です。知名度がなくても、他のお店よりも優れていると思ってもらえるような、独自性のあるサービスを打ち出していきましょう。

数字に根拠を持たせる

数字で表現された計画は第三者にとって分かりやすく、信頼されるものになります。「経験と勘で想像した数字」はなんの根拠もなく、審査担当者を納得させることはできません。政府や公共機関が公表している統計データを利用すれば、数字に大きな信ぴょう性を持たせることができます。

 

創業計画書において、現実性と個性の両立は案外難しいものです。ネット上に公開されているテンプレートを活用すれば、簡単な創業計画書ならすぐに作れるでしょう。しかし、テンプレートを使った創業計画書はあくまでも基本的な構成でしかないので、読みやすい反面、個性を出すことはできません。「この計画なら大丈夫」と思ってもらうためにはツボを押さえることが必要です。また、事業計画は相手に内容が伝わってこそ意味があります。審査担当者はあらゆるビジネスに精通しているように思われがちですが、彼らも人間です。専門性が高く、一般人が知らないようなことは、彼らも知りません。真摯に分かりやすい計画書づくりを心がけましょう。それでも困ったときは専門家に相談してみることをお勧めします。