中小企業の資金調達に有効な「少人数私募債」とは?

「少人数私募債」は無担保・無保証で資金調達ができる

「私募債」という言葉をご存知でしょうか。中小企業の資金調達といえば、銀行融資が代表的です。ですが、銀行から融資を受けるためには、保証人や担保が必要となり、厳しい審査を通過しなければなりません。つまり、中小企業がスムーズに利用できるとは限らないということです。

そこで小企業が、手軽・低コストで資金調達できる方法として、注目すべきなのが「少人数私募債」です。

通常、株式会社や地方公共団体は、二種類の債権を発行しています。一つは不特定多数に販売を行う公募債(県債など)で、もう一つは少数の投資家に債権を発行する私募債です。

■私募債とは■
私募債とは、証券会社を通じて広く一般に募集される公募債(不特定多数の投資家を対象)とは異なり、少数の投資家が直接引受する社債のことをいいます。私募債は有価証券であり、銀行借入による資金調達(間接金融)とは異なり、資本市場からの直接的な資金調達(直接金融)の一形態と位置づけられています。

※出展:三井住友銀行

 

つまり、私募債は社債の一種なので個人事業主は発行することができません。

内容 公募債 私募債
募集人数 50名以上 50名未満
譲渡制限 制限なし あり
発行総額 規定なし 1億円未満
最低発行額(一口) 規定なし 発行総額の1/50
金商法規制

発行市場・・有価証券届出書
流通市場・・有価証券報告書

規制なし
金商法通知義務 目論見書の作成 届出が行われていないこと、譲渡制限があることの通知
社債管理者設置 義務 不要

 

少人数私募債に譲渡制限があるのは、発行後の所有人数を50人未満で維持する必要があるからです。そのため、少人数私募債の発行対象は、不特定多数にならないよう、経営者の親戚や友人、取引先などの縁故者とするケースが多くなります。

少人数私募債のメリットは以下の通りです。

・担保が不要
・月々の返済が無い
・償還期間が決定できる
・利率を自由に設定できる
・実質的な金利を低く抑えられる
・利息を損金(税務上の経費)扱いできる
・審査が不要
・社債権者の節税に貢献
・金融機関からの信用力アップ
・社債管理者が不要
・有価証券届出書または報告書が不要
・信用保証協会への保証料が不要
・発行手続について費用が発生しない

 

人数私募債を発行するのに適している会社のイメージ

① 社長自身の信用度が高く、周囲から信頼されている会社
② 今後の事業計画や未来像を積極的に情報公開できる会社
③ 事業計画を立案した上で、予算の管理を徹底し、償還期限に返済ができる会社

 

少人数私募債の償還期間は自由に設計することができますが、償還期間は3年から5年程度が想定されているため、設備投資等、資金回収のスパンが長くなる計画の場合、不向きといえます。

なお、勧誘対象となる「50名未満」の投資家は、過去6ヶ月以内の通算であることに留意しておく必要があります。また、上の表にもあるように、発行総額が1億円を超えると社債権者に対する告知が必要になることにも注意しなくてはいけません。