シェアリングエコノミーとは

シェアリングエコノミーのメリットは?

近年、「シェアリングエコノミー」がインターネットの普及によって急成長し、注目を集めています。当事務所でもシェアリングエコノミーに関する法務問題に携わらせていただきました。

今回は、シェアリングエコノミーとその法律的視点について解説していきます。

「シェアリングエコノミー」とは、フリマ、民泊、クラウドソーシング等、「個人が保有している稼働していない資産」を運用するビジネスモデルのことを指します。これらのサービスは主にインターネットを介して行われるのが一般的です。

サービスやモノを利用する際、従来は、それらのサービスやモノを提供する事業者と契約して物を買ったり借りたりしていました。

しかし、シェアリングエコノミーでは、稼働していない個人資産を使わない間だけ貸し出したり、使い終わった資産を売り渡したりすることで、その資産を有効活用するのです。

このシェアリングエコノミーのメリットは資産が個人にあることで、供給することがより気軽になり、そのサービスやモノの供給量が増えることにあります。

供給量が増えるということは、モノの利用価格も下がるということです。また、供給する種類が増えることで、利用者の選択肢の幅も広がります。

シェアリングエコノミーからみる法律関係

利用者と提供者の取引形態は、事業者のプラットフォームで取引が行われるという点において従来のビジネスモデル(ネットモール等)と共通していますが、利用者と提供者の関係性については異なります。

ネットモール等では、提供者は出資してプラットフォームを運営する事業者と契約し、プラットフォーム上に出店して自分たちの商品やサービスを売り出します。利用者が提供者として取引に参加することはなく、提供者と利用者の関係に互換性がない消費者取引が成立するといえるでしょう。

ところがシェアリングエコノミーでは出資しなくても、事業として行わなくても、提供者となることができ、両者に互換性が認められる例が多くありますが、このような違いは提供者と利用者の法律上の関係においても重要となります。

消費者契約法において、ネットモール等における提供者は「事業者」であることが普通です。また、利用者が法律の定めによるところの“消費者”である場合、両者間の取引にでは民法と消費者契約法の両方が適応されます。

しかし、シェアリングエコノミーにおいては、提供者か利用者かはケースバイケースとなり、提供者が法律上の「事業者」でない場合、消費者契約法は適応されず、民法の規定に従う必要があります。

シェアリングエコノミーで提供者と利用者のどちらかが損害を受けた場合、その損害を受けた提供者または利用者に対するシェア事業者の責任について

1 どのような責任か

2 シェア事業者が責任を負う場合、利用規約に免責事項があるときは責任を免れられるか

 

これら二つの問題が浮かびあがります。

一つめの責任については、過去の裁判例で、インターネットオークション事業者は欠陥のないシステムを構築してサービスを提供する義務があるという判断が示されていることから、同じ取引形態であるシェアリングエコノミーにおいても、次のような要素がある場合には同様の義務を負うと考えられます。

①提供者または利用者、事業者の間にシェアリングエコノミーの利用について契約が結ばれている
②その契約がシェア事業者によって運営されるプラットフォームシステムの利用を前提としている

二つめの免責ついては、利用契約における免責条項が有効であれば、シェア事業者は免責条項に基づいて免責されます。ただし、公序良俗違反や消費者契約法で不当と認められる場合には無効となります。

シェアリングエコノミーをめぐっては、消費者と消費者の間で成り立つ取引形態であるその特殊性から、さまざまな法的課題が浮上してきます。急成長するシェアリングエコノミーにおける法的規律が、今後さらに重要となるでしょう。