派遣スタッフがオーバーステイだった!

派遣先企業の責任は?

受け入れている派遣スタッフの中に外国人がいて、もしその外国人がオーバーステイ(在留期間超過)だったとしたら、派遣先企業の責任はどうなるかという話です。

派遣先企業と外国人との間には、雇用関係はありません。あくまでも指揮命令の関係だけです。雇用関係がないのだから、責任は派遣会社が負うのだろうと考えてしまいがちですが、この場合、結論から言うと派遣先企業も「不法就労助長罪」に問われる恐れがあります。(入管法73条の3)

これは、雇用関係がなくても指揮命令関係があれば、その外国人に対する監督責任が発生するからです。

法律は原則的に「知らなかったから仕方ない」が通用しません。派遣先としては派遣会社を責めたいところではありますが、それとこれとは話が別なので、こういう事態になったとき、あるいはならないようにするために、何をしなくてはいけないか考えてみましょう。

予防的な観点として、労働者派遣基本契約書、個別契約書に「不法就労活動」に該当するスタッフを派遣しないことを盛り込んでおくのもよいと思います。すでに基本契約を締結したあとであれば、別途覚書を交わすのも有効です。

例えば、以下のような文言が入っているとよいと思います。

・派遣労働者が外国人である場合には、出入国管理及び難民認定法2条の2に該当する者であること

・不法就労活動に該当する外国人を派遣したときは、派遣契約の解除事由(当該外国人に係る契約のみ解除する)とする。

 

その他、検討すべき点は

・派遣予定の外国人が常用労働者であるかどうか

・自社の予定業務が在留資格と合致しているか

・外国人の在留期間は超過していないか

 

これらの点は派遣会社を通じて必ず確認しておくべきです。この検討が不十分ですと、結果として法令違反となってしまう可能性があります。

次に、オーバーステイの事実を知ってしまったときの事後対策についてです。オーバーステイの事実を知ったときは、その外国人の就業をやめさせ、すぐに派遣会社へ連絡をします。私の経験上、派遣会社が、外国人がオーバーステイであることを知らなかったというのはあまり考えられません。主観ですが9割がた気づいていたとみて間違いありません。あとの1割は在留期限の管理を怠っていたか外国人が派遣会社を騙していたかでしょう。いずれにしても派遣会社との契約は見直す必要があります。

「不法就労助長罪」「不法就労者であると知って不法就労をさせた場合」に成立します。つまり、故意でなければ罪に問われることはありません(立証できるかどうかは別として)。従って、事実をしったときは直ちに出勤(就労)をやめさせ、外国人に管轄の入管へ出頭するよう促しましょう。また、後で入管から事情聴取を受けたとき、要らぬ詮索を避けるためにも、事実を知った前後の状況について、なるべく詳細に記録を残しておくのが得策です。