日雇派遣の原則禁止
30日以内の雇用期間は設定禁止
原則として、雇用期間を30日以内とする派遣はできません。
【労働者派遣法 第35条の4】 派遣元事業主は、その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術又は経験を必要とする業務のうち、労働者派遣により日雇労働者(日々又は三十日以内の期間を定めて雇用する労働者をいう。以下この項において同じ。)を従事させても当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務について労働者派遣をする場合又は雇用の機会の確保が特に困難であると認められる労働者の雇用の継続等を図るために必要であると認められる場合その他の場合で 政令で定める場合を除き、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならない。 |
ということは、雇用期間さえ31日以上であれば1日だけの派遣もできるのでしょうか?
『30日の雇用契約がダメなら31日の雇用契約にしておけばいいじゃないか。派遣されないときは、ノーワークノーペイなので会社は損しない。派遣先との契約も31日にしてもらおう』と考える派遣会社もあると思いますが、派遣法ではそのような逸脱行為をガイドラインにおいて警告しています。(業務取扱要領219P (3)禁止の範囲)
では、何日以上なら法に抵触しないのか?結論は週20時間以上勤務させればOkです。法令に記載はありませんが、厚生労働省のHPに根拠となるQ&Aが載っています。
なお、日雇派遣の禁止には例外があります。以下いずれかの要件を満たす方は日雇派遣として働くことができるのです。
・60歳以上 ・学生(夜間・通信以外) ・生業年収500万円以上 ・世帯収入が500万円以上で主たる生計者でない方
派遣会社は、雇用契約締結前に登録者が例外要件を満たしているかを確認する義務があります。要件確認は免許証や学生証(地位証明)源泉徴収票、収入証明など公的書類等の提示を求めて行います。例えば「主たる生計者以外の方」に該当する場合、本人年収に加え、世帯年収も証明する必要があるため、ご家族の源泉徴収票や所得証明書等も用意する必要があります。ただし、やむを得ない措置として対象となる登録者から申告(誓約書の提出)によるとして差し支えありません。(取扱要領P220(5)要件の確認方法)
例外要件それぞれの理由は以下の通りです。
「60歳以上」
雇用機会の確保が特に困難であると認められる労働者」に該当するためです。
「学生」
ただし「雇用保険の適用を受けない学生」に限定されています。通信制や夜間の定時制に通っている場合、仕事をすると雇用保険に入らなければならないため、日雇派遣で働くことができません。
「生業年収500万円以上」
「生業」とは、複数の仕事をしている場合で、その中で最も収入額が高い仕事のこと。この業務こそ、「生業」=「主たる業務」となります。この「主たる業務」の年収が、500万円以上であれば、「生業収入が年間500万円以上」に該当します。
~ 例 ~
Aさんの場合 Bさんの場合
C社からもらっている年収 50万円 C社からもらっている年収 50万円
D社からもらっている年収100万円 D社からもらっている年収200万円
E社からもらっている年収550万円 E社からもらっている年収450万円
合計年収は・・・ 2人とも700万円
この場合2人の「生業」はE社となるので、Aさんは例外要件を満たしています。Bさんは例外要件を満たしていないので「日雇い派遣」で働くことができません。
「主たる生計者以外の方」
「主たる生計者」とは、世帯全体の年収のうち、50%以上を稼いでいる方のことを指します。世帯主ではありません。例えば、夫の年収が300万で妻が200万の場合、世帯年収は500万円。夫は、300万の年収があるため、世帯全体の年収に占める割合は、60%です。一方、妻の年収は、200万円のため、世帯全体の年収に占める割合は、40%。この世帯は例外要件である世帯年収500万以上に該当し、かつ「主たる生計者以外の方」に当たるのは妻。そのため、「日雇派遣」で働けるのは妻ということになります。