準委任契約とは? 委任契約、請負契約との違いについて

委任契約と準委任契約はほとんど同じ

委任契約や請負契約という言葉はよく耳にすることがあると思いますが、準委任契約というのをご存知でしょうか。

準委任契約は、委任契約と同じく、受任者に業務遂行の裁量が任されていることや、仕事を完成させる責任を負わないなどの特徴があります。このコラムでは他の契約との違いについてご説明します。

■準委任契約とは

準委任契約とは「法律行為(※)以外の事務の処理を受任者に委任すること」と規定されています。(民法656条)「準委任契約」は「委任契約」の規定が準用されているため、通常、委任契約と準委任契約を大きく区別することはありません。                                                                                                                                  (※)法律行為とは、例えば、ある物を「売りたい」という意思表示と、それを「買いたい」という意思表示に基づいて法律効果(権利・義務)が発生することをいいます。

法律行為に関わらない業務に関する契約で、注文者が法律行為以外の業務を受任者に依頼します。

【準委任契約の代表例】

・医師による医療行為、診療行為

・高齢者介護サービスの依頼

・学習塾等における受講

・ソフトウェア開発におけるデバッグ

受任者は約束された時間に注文者の業務を手伝ったり、注文者に代わって業務を遂行したりするだけで、仕事を完成させる義務まで負うことはありません。また、注文者には指揮命令権もありません。

 

委任契約、請負契約との違い

◆委任契約

「委任契約とは法律行為に関する事務を相手に依頼する契約」であり、民法第643条に規定されています。

【委任契約の代表例】

・弁護士への訴訟代理

・行政書士への許認可書類作成依頼

・不動産業者への土地売却依頼

委任契約ではなんらかの行為を提供するなど、受注者は業務を行う責任が生じますが、完成する責任を負わないことが前提になります。また、受任者は自分自身で事務処理を行わなければならず、第三者に再委託することは許されていません。

◆請負契約

請負契約では、受任者は依頼された仕事を完成させて納品するまでの業務を請け負って、注文者は完成した仕事・納品物に報酬を支払うことになります。

【請負契約の代表例】

・建設工事

・運送業務

・ホームページ制作

業務の進行などについて、指揮命令権は受任者にありますので、注文者が作業者に対して、直接管理・監督することはできません。そしてもうひとつ、仕事の完成が目的であることから、受任者は納期までに委託された業務を完成させればよく、契約書に取り決めがない場合は、再委託することも可能です。注文者が再委託を禁止したいのであれば、契約を取り交わす際に契約書にその旨の特約を明記しておきましょう。

【民法第10節 委任】

第643条 

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

第656条

この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。