電子申請「GビズID」でできること
特定の法人は電子申請が義務化されました
2020年4月から、特定の法人は社会保険手続き等の電子申請が義務化されました。コロナウィルスの影響下で、様々な分野で電子化が進んでいるようです。その中でも今回は「GビズID」について解説します。
「GビズID」とは、経済産業省が提供するサービスで、法人番号を活用し、ひとつのID(PW)で複数の行政手続き(サービス)にアクセスできる認証システムのことです。
ここでいう法人番号とは、国税庁が指定する13桁の法人番号で、登記所の手続きで使用される12桁の会社法人等番号ではありません。なお、13桁の法人番号は国税庁法人番号公表サイトで調べることができます。
「GビズID」のメリットは
1、24時間365日いつでも申請可能(ただしメンテナンス等で休止することもある)
2、ネット環境があれば、職場以外でも申請可能
3、郵送コスト、交通費等の削減
大きくこの3つでしょう。
【対象となる届出】
◇社会保険
・資格取得届 ・資格喪失届 ・算定基礎届 ・月額変更届 ・賞与支払届 ・被扶養者(異動)届 ・国民年金第3号被保険者関係届
◇雇用保険
・資格取得届 ・資格喪失届 ・転勤届 ・個人番号登録届
なお、特定の法人が社会保険に関する一部の手続きを行う場合、必ず電子申請で行わなければなりません。
【義務化された法人の種類】
・資本金、出資金又は銀行等保有株式取得機構に納付する拠出金の額が1億円超の法人 ・相互会社(保険業法) ・投資法人(投資信託及び投資法人に関する法律) ・特定目的会社(資産の流動化に関する法律)
【特定の法人について電子申請が義務化された手続き】
◇健康保険/厚生年金保険
・被保険者報酬月額算定基礎届 ・被保険者報酬月額変更届 ・被保険者賞与支払届
◇労働保険
継続事業(一括有期事業を含む。)を行う事業主が提出する以下の申告書 ・年度更新に関する申告書(概算保険料申告書、確定保険料申告書、一般拠出 金申告書) ・増加概算保険料申告書
◇雇用保険
・被保険者資格取得届 ・被保険者資格喪失届 ・被保険者転勤届 ・高年齢雇用継続給付支給申請 ・育児休業給付支給申請
「GビズID」には3つの種類があります。
Gビスプライム
こちらは審査が必要ですが、セキュリティも二要素認証となっており、補助金申請など、提供されている全ての行政手続き(サービス)で利用することができます。社会保険の手続きはこちらのIDが必須です。
Gビズエントリー
審査不要ですが、セキュリティは単要素認証です。一部の申請には使えますが、社会保険手続きのほか、利用できないサービスがいくつかあります。
Gビズメンバー
プライムを利用している組織の従業員用としてのIDです。プライムと同じく二要素認証ですが、一部の権限に制約があります。
2001年にサービスが開始されたe-Gov(こちらは総務省管轄)に比べると、利用できるサービスは少なく、情報もあまり公開されていませんが、今までより簡素化され、バックオフィスの効率化が進むことは間違いないようです。コロナ渦の状況下では、窓口に行く手間が省けるのもメリットですが、感染防止にも役立つと思います。必要に応じて導入を検討してみてはいかがでしょうか。