フリーランスの外国人と請負契約を締結するには

就労資格と契約の意味

外国人が就労資格を得るためには、通常、企業と「雇用契約」を交わして勤務することが前提となりますが、企業との契約が「請負契約」「業務委託」であっても可能なのか?というお話です。

法文(別表第一)には「本邦の公私の機関との契約に基づいて…」というふうに書かれていますので、就労資格を得る条件として、企業等との「契約」が必要であることがわかります。

 

「本邦の公私の機関」とされるもの

日本の政府機関
地方公共団体
独立行政法人
公団
法人
公益法人
本邦にある外国の政府機関
外国法人の支社・支店等

 

出入国在留管理局の解釈によれば、この「契約」には「雇用契約」以外の、「請負契約」「業務委託契約」も含まれるとされています。ただし、これには条件があって、「特定の機関」との間で「安定的」かつ「継続的」な契約がなければいけません。不特定の企業と不定期な契約(単発仕事)の積み重ねにより事業を成り立たせるような場合には認められないということになります。

では、契約期間はどれくらいであればいいのでしょう。明確な基準が示されているわけではありませんが、おそらく1~3ヶ月だとちょっと短くて「継続的」とは認められず、不許可となる可能性が高くなります。会社のルール等でどうしてもこれくらいの期間にしなくてはならないのであれば、「双方に異議のない限り自動的に更新される」等の自動的な更新条項が最低限、必要かと思われます。また、「安定的」といえるためには、契約における報酬は年間300万円以上あることが望ましいでしょう。

なお、当然ですが「請負契約」「業務委託契約」の内容は、労働法その他の関連法規との関係で適法でなければいけません。ちなみに「継続的」な契約であれば件数はいくつあっても大丈夫です。

なぜ不定期な契約(単発仕事)がダメなのかというと、不特定多数の顧客を相手に営業をしたり、新規開拓をしたりする行為をしている者が「人文知識・国際業務」や「技術」等の在留資格が得られるとすると、「投資・経営」の在留資格のように、出資や事務所の独立性を必要としないで就労資格を得られてしまい、「投資・経営」の資格取得要件が意味をなさなくなってしまうからです。

「請負契約」「業務委託契約」を締結した外国人は、法律上は「個人事業主」です。そのため、雇用契約を締結して就労ビザを取得した外国人とは異なり、自分で国民年金や国民健康保険の加入手続きや確定申告を行い、自ら所得税、住民税を納めなくてはなりません。これらの手続きを怠ると、次回の在留資格の更新申請の審査で不許可になる可能性が高まります。

「雇用契約」を締結して就労する場合と「請負契約」「業務委託契約」を締結する場合の違いは外国人にとって、大変理解しづらいと思います。外国人と「請負契約」「業務委託契約」を締結する場合は、個人事業主としての必要な手続きについて事前に説明しておくほうがよいでしょう。