退職する外国人労働者。失業保険はもらえるの?

外国人の退職後の手続きについて

外国人が退職した場合も、日本人と同様、会社は雇用保険の喪失手続きを行います。それと併せてハローワークに外国人雇用状況の届出を行う必要があります。この届出は雇用保険の資格喪失手続きの際に行いましょう。

同時に、本人および出入国在留管理局に対し、退職証明書を送付する手続きを行います。これにより、出入国在留管理局は外国人の在留資格がなくなったことを把握することができます。

失業した場合に対応する在留資格は基本的に存在しません。従って外国人本人は、在留期間が残っていても、すでに在留資格がなくなっているものとして行動する必要があります。ただし、きちんと求職活動を行っていれば(証明できれば)資格取り消しとはならず、在留期限まで活動することが可能です。

ちなみに外国人が在留期限までに進むべき道はこの3つです。

  • 在留資格に合った再就職をする
  • 自ら起業する
  • 本国に帰る

日本人と結婚して「配偶者ビザ」を取るということも考えられますが、よほど日本人との交際についてキチンと証明できなければ、本国に帰りたくないから偽装結婚をしたのではないかと疑われてしまう可能性があります。

では、求職活動とは、具体的に何をさすのでしょう?日本人と同じように、求人サイトなどにエントリーしたり、応募したりするだけでは足りません。ハローワークに失業給付(いわゆる失業保険)の受給手続きと、求職の申込みを行います。なぜ失業給付の受給手続きと、求職の申込みをする必要があるかというと、それは、失業給付は「就職する意思と労働する能力がある」者に対して給付されるからです。この手続きを行うことによって、意思と能力を示すことができるわけです。

ただし、自己都合で退職した場合、失業給付は3ヶ月間の待期期間(支給制限)がありますので、たとえ在留資格が更新まで6ヶ月あったとしても、3ヶ月以上活動(就労)しなければ在留資格の取り消し事由に該当してしまいます。また、自己都合で退職の場合には、失業給付90日分を全額受給できるかどうかは不明です。

外国人に対する雇用保険の制度は在留資格と絡めて考えなくてはいけないので大変複雑です。「辞めていくヤツの手続きを優先させるなんて…やるけど今は忙しいから後回しでいいだろう」手間をかけて、やっと採用した外国人。人手不足のなか辞めたいと言われたら、こういう気持ちになってしまうのもわからなくはないですが、手続きの遅れは、外国人の再就職を妨げるといった不利益を与えるだけではありません。手続きが遅れたことによって就職ができなかったり求職活動ができなかったりすれば、損害賠償を請求されてしまう可能性も出てきます。外国人から退職申し出があった場合、手続きは速やかに対応しましょう。