外国人の採用時は在留資格を確認しましょう
ビザと在留資格は別物です
在留資格(Status of Residence)と似た言葉に「ビザ(Visa、査証)」があります。日常会話では、「ビザがもうすぐ切れる」とか「就労ビザを持っている」等と使われますが、法律上はビザと在留資格は異なります。
ビザとは、外国人の入国及び滞在に差支えがないことを、日本大使館又は領事館が判断する、推薦状のようなもので、パスポートに認印を押されるかたちで発給されます。
観光や出張のような短期滞在の場合には、日本では協定により68の国や地域がビザ免除されていて、ビザなしで最長 90日間滞在することができます。
一方、在留資格とは、外国人が日本に在留して一定の活動を行うことができる法的な地位をいいます。手続き上の流れとしては、外国人が上陸(本邦に足を踏み入れること)する際、ビザやパスポート等により入国審査官による審査を受け、上陸許可要件を満たしていると判断されれば、在留資格や在留期間を定めて在留許可が出されます。中長期滞在者となった場合には、入国審査官より在留カードの交付を受けます。
以上のことから「ビザが切れる」「ビザを更新する」という表現は、本来の在留資格を指していることがおわかりいただけたでしょう。
在留資格には、就労可能なものとそうでないものを合わせて全部で29種類あり、大別すると「一定の活動に基づくもの」と「一定の地位(身分)に基づくもの」の2種類です。
一定の活動に基づくものとして、例えば「技術・人文知識・国際業務」という在留資格では、以下のような一定範囲内での就労が認められています。
「技術」・・・・・・・・・・・・理系の仕事
・コンピューター関連の技術者(システムエンジニア、プログラマーなど) ・機械工学などの技術者 ・情報セキュリティーの技術者 ・土木及び建築における研究開発・解析・構造設計関連の従事者 ・ゲーム開発のシステムの設計や試験、検査等の従事者 ・その他製造や開発に携わる人
「人・文知識」・・・・・・・・文系(社会科学分野を含む)の仕事
・貿易などの海外と取引する業務 ・経理、人事、総務、法務 ・マーケティング ・広報 ・商品開発 ・営業 ・企画 ・コンサルティング
「国際業務」・・・・・・・・外国人だからこその考え方や感じ方を活かす仕事
・翻訳 ・通訳 ・民間の語学学校等の語学の講師 ・服飾や広告などのデザイナー ・ホテルマン(通訳が主業務のためルームメイクや配膳は不可)
一方で、「留学」という在留資格では、所定の教育機関において教育を受けることを許可なので、就労は原則認められていません。
一定の地位に基づくものとして、例えば「日本人の配偶者等」では、日本人の配偶者や特別養子、日本人の子として日本での滞在を許可するもので、活動内容も自由で、職種による制限を受けることなく就労できます。また、日系 3 世等に多い「定住者」も地位に基づくもののひとつです。
全ての在留資格のうち、就労が認められているものは、23 種類あります。ただし、就労が認められていない「留学」と「家族滞在」は、資格外活動の許可を得ることにより、原則週 28 時間以内の就労が認められています。また、個別に指定された活動に従事する「特定活動」についても、ワーキング・ホリデーや EPA に基づく看護師や介護福祉士候補者の場合には、就労できます。
なお、外国人を雇用する際に必要な手続きは、日本人を雇用するときと同じですが、外国人雇用状況届出書を所轄のハローワークに届けなければなりません(怠ると 30 万円以下の罰金)。通常は、雇用保険の被保険者取得届の際にあわせて提出できますが、雇用保険の被保険者でない場合には、別途届出が必要です。
社会保険(健康保険、厚生年金保険)及び労働保険(労災保険、雇用保険)の適用に関して、外国の失業補償制度の適用を受けている者、ワーキング・ホリデー中の者、昼間学生については、雇用保険の適用がありません。また、日本は18ヶ国と社会保障協定を締結していますが、これらの国の企業から5年以内の予定で日本に派遣される場合、協定により日本での社会保険制度の適用が免除される可能性があります。
在留カードには、氏名、生年月日、国籍、住所、在留資格、就労制限の有無、有効期間等が記載されています。御社の求人に外国人が応募してきたときは、必ず在留カードを確認してください。