赤字会社だと外国人を雇用するのは難しい?

許可要件として、会社の「事業の安定性・継続性」が求められます

外国人が就労目的で来日をしようとする場合、出入国在留管理局は以下の点を審査の基準としています。

 

在留資格該当性の有無
外国人が日本で行おうとする活動が入管法に定める在留資格に対応して、定められた活動に該当しているか

基準適合性の有無
外国人の学歴・職歴等が希望する在留資格の基準に該当するか

相当性
外国人が日本に来て働くことに客観的な理由があるのかどうか

 

三つめの相当性が認められるためには、外国人の「在留の継続性・安定性」が求められます。外国人が日本で安心して暮らす環境があれば、入管法1条に規定された「出入国の公正な管理を図る」という趣旨を達成できるからだと言われています。どんなに優秀で素晴らしい人材であったとしても、就職する予定の会社が、経営状態が悪ければ、すぐに失業してしまうかもしれません。それでは外国人の「在留の継続性・安定性」を担保することができなくなってしまいます。そこで、出入国在留管理局は在留資格審査の際に「在留の継続性・安定性」という目的を達成するために、外国人が就職しようとしている会社が、安定して仕事のできる環境にあること、つまり事業の安定性・継続性」の証明を要求するようにしたのです。

なお、「事業の安定性・継続性」には、外国人を雇用することがどうしても必要である状況が大前提です。特に外国人を雇用する理由のない会社であれば、ちゃんと仕事を与えられず、外国人の「在留の継続性・安定性」が確保できない恐れがあるからです。

 

「事業の安定性・継続性」判断基準
資本金の額
売上高
粗利益
従業員数
営業種別、本社・支社(営業所)の施設状況
決算内容(新規の場合事業計画)
今後の事業活動が適正かつ確実に行われることの可能性

 

出入国在留管理局の審査では、上記①~⑦の要素を基に、その会社が外国人を雇用するだけの安定性があるのか、継続性があるのか、そして、外国人を雇用する必要があるのかどうかを厳密に検討します。そのうち、「事業の継続性」については、単に現在の事業状況だけでは判断するわけではありません。仮に直前期の決算結果が赤字であったとしても前々期(2期前)の決算状況も参考にしながら「継続性」が判断されます。

また、すでに外国人を雇用している会社が新たな外国人を招へいしようとするときは、「なぜまた新しい外国人を採用しなくてはいけないのか」という点について、在籍している外国人従業員の業務内容やその兼ね合いなども具体的に説明しなくてはいけません。申請の際に必要な理由書を書くときは、抽象的な表現は避け、なるべく具体的な根拠や数値を示すことを心掛けるのがよいでしょう。