HACCPが義務化されて、事業者がやるべきこと
HACCPとは世界中で採用されている「衛生管理の手法」
Hazard Analysis and Critical Control Point (ハザード分析と重要管理点)
HACCPとは、食品等事業者自らが食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因(ハザード)を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中で、それらの危害要因を除去又は低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保しようする衛生管理の手法です。
2020年の6月から食品製造・加工のメーカーだけでなく、飲食店に対してもHACCPによる衛生管理の義務化が行われることが決定しました。なお、2020年の法律施行から1年間は猶予期間となっており、制度としては2021年6月から開始されます。
・店内に虫が飛んでいる
・店内が汚い(床がベタベタするなど)
・汚れた厨房が丸見え
・従業員の身だしなみが不衛生で気になる
こういった状況は、消費者にとって、今後ますます重大なチェックポイントとるでしょう。「義務だから仕方ない」という気持ちになるのもわかりますが、経営者自身、お店を守るためにもHACCPをしっかり理解しておく必要がありそうです。
では、具体的に何をやらなくてはいけないか?衛生管理は大きく分けて2つあり、それぞれについて実施しなくてはいけません。
基礎的な衛生管理(一般衛生管理)
一般飲食店では以下の項目を中心に管理することが望ましいです。
■従業員 体調監理、服装、髪型、手指の傷 ■原材料 外装汚損、異臭 納入温度 消費期限・保存方法 ■施設 床や内壁、作業台(調理場)、シンク 異物混入につながる要因 廃棄物置場の清掃 排水口(グリストラップ)の処理 ■調理機器点検 異常音、油漏れなど 洗浄、清掃、殺菌、消毒 ■トイレ 定期的な清掃 手洗いの徹底
調理工程における衛生管理(重要ポイントの管理)
食品を10~60℃の温度帯(危険温度帯)においたままにすると、食品についた細菌は瞬く間に増殖してしまいます。そこで、調理中の危険温度帯に着目してチェック方法を定めます。調理の際に、加熱・冷却・保存などの種類から、以下のようなグループにメニューを分類する方法が推奨されています。
第1 グループ:非加熱のもの(冷蔵品を冷たいまま提供) 第2 グループ:加熱するもの(冷蔵品を加熱し、熱いまま提供あるいは、加熱した後、高温保管) 第3 グループ:加熱後冷却し再加熱するもの、または、加熱後冷却するもの
これら2つの衛生管理について、計画したものを「衛生管理計画」といい、HACCP義務化後はこの計画書の作成が必須となります。今のところ、提携様式はありませんが、厚生労働省がまとめた見本がありますので、よろしければ参考にしてください。
HACCPの制度化は、改正食品衛生法では明な罰則が規定されていませんが、都道府県知事の判断にゆだねられていますので、場合によっては営業許可の停止(取り消し)もあり得るかもしれません。
来年のHACCP実施までちょうど1年、この機会に今一度衛生管理について見直してみてはいかがでしょうか?