10月1日に『中小企業成長促進法』が施行されました。

何が変わる?制度の概要と目的

中小企業成長促進法、正式名称は『中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律』といいます。

この法律が施行されたことにより、中小企業を取り巻く環境は、今後大きく変わる可能性があります。特に事業承継の問題を抱えている企業にとって、この法律は大きな意味を持っていると思います。

中小企業の事業承継は、日本経済をはじめ、社会全体において「喫緊の課題」であると言われています。そうしたなか、これまでも様々な支援策など、取り組みがなされてきましたが、経営者の個人保証をはじめとした障害に悩む中小経営者は未だ少なくありません。

そのような経営者をサポートする目的で閣議決定された法律が、今回紹介する『中小企業成長促進法』です。この法律は中小企業の廃業を防ぎ、かつ事業承継の円滑化や成長を国が支援するための土台作りとして、20203月に閣議決定されました。

では、中小企業成長促進法では、具体的にどのような施策が講じられるのでしょうか。

この法律の施策は、4つの軸に分けられています。

 

【施 策】

(1)経営者保証解除スキームの拡充、事業承継の促進
事業承継の際に、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度を新設する。

(2)中堅企業への成長環境の整備   
中小企業から中堅企業に成長した後も、支援を継続するための制度を新設する。

(3)海外展開支援の強化   
海外展開を支援するために、信用力が乏しい中小企業の海外子会社に対して、日本政策金融公庫が直接融資をする制度を新設する。

(4)中小企業目線での政策体系の整理          
よりスムーズな形で中小企業を支援するために、類似の計画制度を統合し、成長段階に応じた体系に再整理する。また、その計画に紐づく補助金を、計画認定なしで申請できるように調整を行う。

中小企業庁の説明資料はコチラ

事業承継に悩む中小企業にとって、上記(1)の経営者保証解除スキームの拡充は特に心強い施策です。既存の保証限度枠とは別に、最大2.8億円の「信用保証の特別枠」が設定されるため、金融機関から経営者保証を外してもらえる可能性が高まります。この施策により、事業承継自体を進めやすくなるのはもちろん、承継後の融資もスムーズに受けられる可能性があります。

中小企業成長促進法は多くの経営者にとって、経営のさまざまな部分をサポートしてもらえる心強い法律です。しかし、要件を満たさないと恩恵を受けられない可能性があるので、経営者は適用要件を細かくチェックしたうえで、余裕をもって準備に取りかかる必要があります。

また、事業承継や海外進出など、目的によって利用するべき施策が変わってくる点にも注意が必要です。自社の目的に適した具体的な施策をしっかりと調べて、計画実行のために、準備を整えておきましょう。