フランチャイズ契約において注意すべきポイントは?

加盟店は事業者だが、自由度は低い

フランチャイズ契約は、加盟店とチェーン本部がそれぞれ独立した事業者として、各々の責任において締結するものです。加盟店は、本部事業者の社員として雇用されるのではなく、自己の資本を投下し、事業を行う者であり契約に際しては、独立した事業者としての自覚を持つこと、また、事業であるからにはリスクがあることを認識した上で判断する必要があります。

また、フランチャイズ契約は本部と独立した事業者である加盟店との事業者間の契約であるため、本部と加盟店の間の取引関係には独占禁止法が適用されます。公正取引委員会は独占禁止法に基づき、「フランチャイズ・ガイドライン」を公表していて、どのような行為が不公正な取引であるかを明らかにしています。

フランチャイズ・システムは、加盟者にとって、チェーン本部から優れた商品や経営ノウハウの提供を受け、商標、商号の使用が可能となるなど個人経営では得られない様々な情報やシステム、ノウハウ等を享受することができる一方、本部にとっては、加盟店の資金負担により出店時の投資コストの削減や、急速な多店舗展開が可能となるなどのメリットがあります。 しかし、フランチャイズのシステムは本部の統一的システムのもとで、経営していくスタイルですから、独自の経営手法による経営を望まれる方はフランチャイズの契約はお薦めできません。また、フランチャイズ契約を検討している方は、次のことについて注意してください。

●売上予測、経費予測と実態の相違について

チェーン本部が加盟店を募集する際に提示する「売上予測」、「経費予測」等を鵜呑みにしてはいけません。算出根拠について慎重に検討しましょう。

●加盟金の返還の有無について

契約形態の中には、店舗物件が確定する前に契約を締結し、加盟金と同趣旨の金銭の支払いが求められるケースがあります。このような契約の場合は本部の開店に向けた支援、開店できなかった場合の金銭の返還の有無等について明確に説明してもらうことが大事です。

●ロイヤリティの算定方法について

ロイヤリティの算定方法はフランチャイズ契約に記載されるべきものですが、その内容はチェーンによって様々です。例えば、廃棄ロスや棚卸ロス(万引き等により紛失したロス)は、ロイヤリティの計算上、仕入からは控除されませんから、加盟店の利益は減ります。こうした点を踏まえ、廃棄ロスや棚卸ロスの扱いについて、十分留意する必要があります。

●本部との債権債務の相殺勘定について

加盟店と本部の間には種々の金銭債権債務が発生しますが、それを相殺する勘定を設定しその会計処理を本部が行うことがあります。加盟店の勘定がマイナスになった場合、本部が設定した利息が附されて自動的に融資されるなど、大変複雑です。そういった仕組みについても十分理解できるまで説明してもらいましょう。

●テリトリー権の設定の有無について

フランチャイズ契約の中には、同一チェーン内において加盟店に一定の領域の商圏保護や地域制限を設けているものもあります。また逆に、コンビニエンスストアはドミナント戦略を重視していますので、テリトリー権を認めない契約が一般的だと言われています。

●契約解除時における解約違約金

フランチャイズ契約の中途解除の内容について、十分に確認しておきましょう。解約金の算定方法や契約解除の申入れができるケース(免責事項)等は特に重要です。

     フランチャイズ契約は、独立した事業間の契約ではありますが、「本部が設定した内容を加盟者が受け入れる約款契約であること 「加盟者を本部の系列の中に組み込む契約であること」といった性質を持っています。 チェーン店本部があらかじめ用意した内容を加盟店が受け入れる契約であるうえ、契約期間は長期にわたります。加盟店が適切な情報を得た上で内容を理解してチェーン本部と契約することが重要です。