持続化給付金の申請を有償で行えるのは行政書士だけです。
SNSで不審な勧誘…ほとんどが行政書士法違反です
先日、他の行政書士の先生からSNSやフリマアプリで怪しい投稿が出回っていると聞きましたので、検索をしてみました。
内容は「持続化給付金の申請を代行する」というものです。ひどい場合は「無職、主婦OK。書類はこちらで準備します」などと書かれていて、明らかに不正受給を誘引するような内容になっています。
パソコンやスマホが苦手な人が、身近な人に支援を受けること自体は問題ありません。ただ、行政書士法で官公庁への提出書類の代行作成を有償で行えるのは行政書士に限定されています。無資格者が有償で書類を作るのは違法行為に当たりますし、虚偽の申請で給付金を受給した場合は詐欺罪に問われる可能性もあります(「無職・主婦」は制度の趣旨からして明らかに受給対象外です)。
ちなみに中小企業診断士や税理士ですら、有償による代理申請は認められていません。ただし、顧問先に対して、申請がうまくいくよう、士業の方々が無償でアドバイスを行うことは適法です。
もっとも、「アドバイスならいい」というところに目を付け、申請代行の報酬ではなく、コンサルティング料だと言い換える事業者がいるのも事実です。
実際のところ、新規事業開発などにからむ行政機関の補助制度は、それなりにハードルが高く、しっかりした事業計画を記載しないと、簡単には採択されません。そのため、専門家のアドバイスが必要になる場面も少なからずあるでしょう。
しかし、持続化給付金に限っていうなら、計画も将来性も関係なく、単にコロナのせいで、売り上げが落ちたことを伝えればいいだけであり、申請フォームの入力に際しては、専門性を問われることはありません。
にもかかわらず、「着手金ゼロ」だの「あくまで成功報酬」などと、あたかも「大変な作業を手伝う」のように宣伝するのは、行政書士法違反であるだけでなくビジネス倫理としても問題があるように思います。
不正受給が判明した場合は、支給額に延滞金(年3%)を加えた額に、さらに2割を上乗せした金額を求められます。中小企業庁は「調査して悪質な事案があった場合は刑事告訴も検討する」という見解を示しています。
もし仮にそのような勧誘を受けたとしても、絶対に応じないよう、気を付けてください。