外国人に渡す「雇用契約書」は日本語だけでは足りない 

母国語で書かれた「雇用契約書」も用意して、あいまいな表現は避ける

外国人が日本で働くには在留資格が必要ですが、この在留資格を申請する際に、これから働く会社と交わした「雇用契約書」の写しを出入国在留管理庁に提出しなければなりません。

在留資格を持っていない外国人を新規で採用する場合には、在留資格が認められることを前提とした雇用契約(いわゆる解約権留保)を結ぶことが一般的です。

雇用契約そのものは、労働者と雇用主の双方が内容を誤解なく理解して合意していれば口頭でも成立しますが、労働基準法には、労働条件の一部について、必ず書面で労働者に明示しなくてはならない(絶対的明示事項)ものがあり、注意が必要です。

【絶対的明示事項】労働基準法施行規則第5条

・期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項

・就業の場所及び従事する業務に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇に関する事項

・賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

・退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

「雇用契約書」作成する際の注意点としては、基本的には日本人と同じように作りますが、本人の読める言葉」で「はっきりとした内容を記載することが求められます。

外国人は、日本人と比べて「契約」を重視します。また、与えられた権利はどんどん行使する傾向にあります。契約書に書かれていないことはやらない(やってくれない)と思っていたほうがいいでしょう。そもそも、日本人のように「空気を読む」というような暗黙の了解は通じません。

例えば、始業前に準備をするため少し早く出勤する社風などの労働文化は、外国人にはなかなか理解できないと思います。そのため、雇用契約に書かれている曖昧な表現が理解できず、トラブルが起きてしまうこともあります。そうならないためにも、予め、日本の企業文化やコミュニケーションの取り方についての説明しておくことをお勧めします。また、「雇用契約書」は日本語だけでなく、外国人労働者の母国語で書かれたものを作成してください。日本語がある程度わかる外国人も「漢字」が分からないという場合も多くあります。外国人が、日本語が話せるからといって安心してはいけません。また、日本語で書かれた「雇用契約書」にフリガナを振っておくのも良いと思います。

外国人労働者の疑問点を全て解消して、様々な条件を理解してもらった上で雇用することが重要です。

問題が起きるときというのは、外国人労働者本人だけでなく、少なからず企業側にも責任があります。基本的には企業としての認識不足や、外国人労働者とのコミュニケーション不足が主な原因ではないでしょうか。外国人労働者とトラブルを起こさない為には、トラブルになり得る原因を理解しておくとともに、外国人労働者に配慮した労働環境を整えましょう。