契約書の意義

契約書はなぜ必要か

契約書は、あらゆる取引において作成されます。その理由は実にシンプルで「トラブルの防止」であり、トラブルが起こったとき「解決しやすくする」ためです 。契約書や規約があることで、取引がスムーズに行われ、時には無理難題を言ってくるクレーマーにも対抗することができます。

例えば発注者から

「思っていたより品質が悪い」「頼んだ内容と違っている」「傷がついていた」 といったクレームがあったとします。その後の経緯によっては

「値段を安くしろ」「返品するからお金を払わない(返せ)」という不当な要求に発展する可能性も十分考えられます。

また、受注者からしても発注者に対して

「理由をつけてお金を払ってくれない」「確認の連絡をしても返事がなく作業が進められない 」などのトラブルが発生することも考えられます。

契約書を作成し、予めルールを定めておけば、トラブルが起きたとき、速やかに対処することができます。明確なルールを取り決めることで無理な争いが起きることがなくなり ます。仮に紛争に発展するようなことになったとしても、比較的早い段階で解決することができるのです。

明確な取り決めがなされていなかったため、トラブルが発生したとき、自分の主張を申し立てることができず、相手方に押し切られることもありますし、SNSなどで悪評を立てられることもあるでしょう。また、社内に法務部があるような大きな企業や顧問弁護士がいる企業はともかく、中小企業・小規模事業者は、費用も時間もかかる訴訟を起こせないことが多いと思います。

契約書の作成には、起こりそうなトラブルを予見すること、そして、その対処方法を明確にしておくことがとても重要です。

契約書があると強く対応できるのは、裁判でもそのルールを主張できるからです。負けると分かっていて争う人はまずいません。そのためも契約書をあらかじめ作成して、トラブルが起こった時に、その契約書に沿って結論がどうなるかが分かるようにしておくことが望ましいでしょう。また、相手方から提示された契約書は、面倒でも必ず一読するべきです。たとえその相手が、これまでのお付き合いで信用できる相手だったとしても、トラブルが発生してしまうと、想像もしないような形で揉めてしまうことがあります。信頼できる相手だからこそ、その関係を続けるために契約書を作成しておきましょう。