日本人配偶者のいる外国人従業員が離婚したら
外国人の離婚後の身辺状況によって対応が変わります
外国人従業員に日本人の配偶者がいる場合は、「日本人の配偶者等」の在留資格がありますから、就く職業に制限がありません。しかし、離婚してしまったら他の在留資格への変更が必要になります。会社としては、外国人の職務内容がどの就労資格に該当するかを確認したうえで、就労資格の変更手続きを行いましょう。
ただ、あまりないケースですが、離婚後、すぐにまた日本人と再婚した場合は、在留資格が「日本人の配偶者等」のままですから、変更手続きを行う必要はありません。
その他、外国人が未成年かつ未婚の実子を扶養する場合、在留資格を「定住者」に変更することが可能です。
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その他にも細かい規定はありますが、概ねこの条件が揃っていれば、「定住者」への変更が認められる可能性が高くなります。ちなみに、子の親どちらかが日本国籍であれば、子の国籍も嫡出、非嫡出も問われません(認知は必要です)。
なお、上の条件に当てはまらないケースで、「定住者」への変更が可能になるとすれば
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これらを勘案されて、許可される場合もあります。ただし、あくまでもこれは個別の判断によるものです。該当しているからと言って必ず許可されるとは限りません。
会社としては、離婚の事実を知ったときは、在留資格の身分変更が必要になることを外国人にしっかり説明しましょう。
離婚と解雇
さて、在留資格が身分による外国人を雇用していて、離婚によりその身分がなくなってしまったら、会社は解雇できるのでしょうか?
以前の記事にも書きましたが、外国人であっても労働基準法は当然に適用されます。労働基準法第3条では国籍を理由として差別的扱いをしてはならないと明記されていますので、日本人と同様、成績不良、服務規律違反行為、人員削減の必要性など、正当な理由がなければ解雇することはできません。ただ、会社としては外国人が離婚したことにより、働くことができる在留資格を得られなかったときは、適法に就労できない以上、解雇せざるを得ず、正当な理由のある解雇になると考えられます。
【労働基準法】
このように、身分関係に変更が生じるような万が一の場合にそなえ、あらかじめ家族関係を把握しておくことはもとより、採用の際、なんらかの事情により「就労資格変更」が可能な業務であるかどうかも検討しておくことが望ましいと言えます。